vol.30 緻密・精密な「中綴じ製本」をする方法

2014/11/13


緻密・精密な「中綴じ製本」をする方法

 ホッチキスのように針金で背中を綴じる「中綴じ製本」は、週刊誌やカタログ、パンフレットなどでも多用されている、安価で、スピーディにできる製本方法です。しかし「中綴じ製本」は、意外に緻密な作業が必要な製本でもあります。この「中綴じ製本」をされる場合、事前に弊社ヘご相談ください。特に小さいサイズの印刷物は、やり方によって品質や仕上がりが大きく異なります。




サイズ77mm×lOOmm、用紙:上質紙90kg、60ページの中綴じ製本の場合

中綴じ製本は紙を重ねて2つ折りの状態で綴じる製本方法で、紙1枚のページ数は4ページ、総ページ数は常に「4の倍数」になります。従って、編集も4の倍数のページ数で設定することになります。
(工程)
60ページの場合は15枚の紙を重ねて、それを真ん中で折り、針金で閉じ、「天、地、小口」を断裁して正寸に仕上げたら出来上がりです。この「天、地、小口」を断裁することで、ある問題が起こることがあります。
この場合、紙を重ねた状態の厚さが約2mmなので、表紙となる一番外側の紙は正寸ですが、2枚目以降が綴じる側から約0.14mmずつ短くなっていきます。( 2mm÷14枚≒0.14mm )内側14枚の寸法はおおよそ図の通りです。



また、この処置はページの右側を処置する場合、左側を処置する場合があり、各ページの位置によって決まります。
この処置をしないで全てを正寸で仕上げて印刷してしまうと、中綴じ製本で仕上げた時に写真のような問題が起こります。

*この問題は、特に『小さいサイズ』、「厚い用紙を使用した印刷物』で多く発生します。


*POINT*
・この作業は全てのページが完成してから行います。
・この作業を終えた後でのページの追加や移動、削除などがあると、時間や手間の口ス、ミスなどの原因になります。これらをヒントに、無線綴じ、多くの折り帳を重ねる上製本、インデックスがある印刷物、複雑な折り方をする印刷物などの場合にもよく注意して制作を進めましょう。


印刷物の制作工程は1992年頃から本格的に始まったデザインや組版作業のデジタル化によるコンビュータとソフトのお蔭で、大変効率的に作業ができるようになりましたが、このような精密且つ緻密な作業、組版の美しさ、正確さなどはことごとく失われてきました。ウェブサイトとは違い、印刷物は後世に現物として残るものですから、情報伝達の媒体としての機能と、見やすいレイアウトや作品としての美しさを失わないよう今後も務めてまいります。


この記事はミラテックマンスリーリポートvol.4より抜粋しています。