vol.32 コンセプトワークの重要性

2014/11/27


コンセプトワークの重要性

コンセプトとは「あらゆる行動の前提となる、ゆるぎない考え方、方針」であり、コンセプトワークとはその方針を導きだし、決定する作業のことです。
印刷物の制作、ウェブサイトの構築、新商品やサービスの開発など、あらゆる活動において、コンセプトが正しく確立されていることは、関係者の意思統一を可能にし、方針に筋が通り、成功の可能性を限りなく高めてくれる力になるはずです。物事をその場の思い付きや無意識で始めるのではなく、その目的、意義、方針、考え方を凝縮して文書化し、関係者全員が共有することで、モノづくりはスムースに進行します。

 コンセプトは30文字前後の文章で構築する(コンセプトの例)
●広報誌発行のコンセプト「お客様のお役に立て、喜ばれる情報を毎月配信する広報誌」
このコンセプ卜は毎月発行する広報誌の掲載記事が発行趣旨から外れない効果があります。
広報誌の発行では「読み手にとって利益があるか」「読み手の期待に応えているか」など、読み手(お客様)にとって望ましいものであることが重要です。コンセプ卜がしっかりしていれば組織内から記事の公募をする際にも「面白い社員が入社した」「近所に新しくおいしいお店ができた」など、コンセプ卜から外れたものは提案されず、お客様のための有益な情報がつねに準備されることになります。

●カタログ制作のコンセプト「地酒とそれに合う肴、器を地域別に紹介する通販カタログ」
このコンセプ卜によってページネーション(誌面の構成)が明確に決まります。
このコンセプ卜は、「無名の地酒をどうやって販売し、目標とする売上を達成できるか」というクライアン卜からの課題に対して出された回答例です。無名の地酒だけでは商品力がないために、肴と器をセット販売することで購買意欲を高め、売上数字を達成したもので、ページネーションもコンセプ卜通りの「地酒とそれに合う肴、器を地域別に紹介する」レイアウ卜になっています。

●会社案内制作のコンセプト「営業活動に合致し、お客様が一目で自社商品を一望できる会社案内」
必然的に新聞形式の会社案内になり、営業マンとお客様との打ち合わせシーンに合致します。
会社案内は企業には欠かせない印刷物ですが、その活用法がポイン卜になります。取引の際の提出物や、リクルー卜、会社紹介などで使用する場合は高品質で重厚なものになりますが、営業マンが日々の新規開拓で自社の紹介と共に商品、サービスを「的確に、短時間で、一目でわかるように」ご説明するためのものなら、営業マンの活動シーンに合わせたレイアウトやデザインになります。

●WEBサイト構築のコンセプト「自社と営業品目の紹介と受注、自社商品の販売をするためのサイト」
サイ卜構築の目的と求められる機能、期待している効果を網羅したサイ卜に出来上がります。一見当たり前な文章ですが、このコンセプ卜で「会社の紹介をした上で、営業品目が明確で、サイ卜からの受注機能があり、自社商品もサイ卜で購入ができるホームページである」ということが解ります。更に打ち合わせが進んでいけば、営業品目の受注と商品販売のどちらをメインとするかなどが考慮され、会社の運営、営業活動を強力にサポー卜してくれるサイトに仕上がります。


このように、コンセプトワークは単なる言葉遊びではなく、企画会議などの意思決定の瞬間や、制作を担当するデザイナーの「最後の砦」とさえ言われるものです。その理由は、意見が分かれた時にコンセプトに沿っているかどうかが最終結論のカギとなることは言うまでもなく、特に経営上層部の方の最終決裁の場面では、コンセプトの文章から「方針や目的に合致し、期待する結果を求めることが可能か」を判断することによって下されるからです。
さて、お読みいただいているこの広報誌のコンセプトは「お客様のお役に立て、喜ばれる情報を毎月配信する広報誌」でございます。コンセプト通り印刷会社としてみなさまのお役にたてておりますでしょうか…?



この記事はミラテックマンスリーリポートvol.6より抜粋しています。