vol.37 3S(整理・整頓・清掃)において、定位置、定量、定方向がなぜ重要か

2015/2/16


「3S(整理・整頓・清掃)において、定位置、定量、定方向がなぜ重要か」(これは2015年2月14日 社長から社員へ発信した社内文書です)

定方向について、水平垂直を守り、開けた扉は締める、ドットシールなどを利用し、あらゆるモノの置き位置を定めて守る、ゆがめない、崩さない、バラバラにしない、机上は不在時は何もない状態を保ち、滑走路のようになっていなくてはならない。何故だろうか?何のためだろうか?

定方向と徹底した整理整頓は仕事の姿を美しくするのはもちろんだが、それは外見上の事にすぎない。大切な事はこのような考え方は特に我々の仕事特有の性質に合致しているからだ。我々の仕事は情報産業である。印刷会社は何を創っているのか、紙という媒体を通じて情報を伝達する道具を創っているのである。そして今日では媒体は紙だけではなく、あらゆるメディアに及んでいる。しかし、いかなる媒体であれ、我々の仕事は情報を整理し、見やすく、わかりやすく、デザイン性に優れたセンスの良い、美しく、伝わりやすいものに形成し、更に校正という大切な作業によってその内容に誤りがないものに仕上げてお客様に引き渡す。お客様はその情報媒体を利用し、期待していた効果を得るのである。

ではこの要求事項を満たせない、すなわちミスやお客様の不満足、クレームが発生するのはどのような場合だろうか。関わる全ての担当者が問題に「気づかない」事によってそれは発生する。何故気づかないのか。これまで私は長年この仕事を見てきたが、弊社の場合も全てに共通する人の問題は「乱れ」である。そしてこのことは工事現場の仕事や鉄工所、IT関連、その他すべての職種に共通の問題である。私たちの仕事で言えば校正は何度繰り返しても不安が消えるものではなく、むしろ直感が働かなければ成り立たない作業にも見える。デザインの不備や文字の乱れ、誤字脱字など、これらは全て情報の乱れである。それをチェックする仕事を行う職場が乱れている、それに慣れてしまっている人、乱れていることに違和感を持たない人が美しい情報を創ることができるわけがない。乱れていることに違和感を感じないような神経では情報の乱れにも気づくはずがないのだ。逆に言えばこれらの事を磨き上げて研ぎ澄ませば自身の脳裏には精密なグリッドが存在するようになるのだから、情報の乱れに対する違和感を鋭敏に感じ取れるようになる。

「社長として最も望んでいる事とご来訪頂いたみなさまのお言葉」

会社の印象はやはり真実を語っている。会社は印象通りなのである。なぜなら印象は日々の思考と行動でできているからである。3Sに取り組む今は社長が常に「輪ゴムが落ちている、クリップが落ちている、ゴミが落ちている、戸が閉まっていない、ボックスが反対になっている、グリッドに合っていない、ふたが閉まっていない、椅子が机に入れられていない、きちっと入れられていない、定位置に入れられていない」と、日々言われ続ければ嫌な思い、腹が立つこと、多々あったかと思う。しかし、社長がどう思われようが、大切な事は外部の評価である。私が望んでいるのは、お客様、仕入れ先、外注先様を含めたあらゆる外部の方から全社員が「立派な人物である」と評価をしていただく事である。
A社長様が来訪されたときは「素晴らしい社員さんがいる職場だとすぐにわかる」、「これだけきちっとした職場を創れる社員さんなら信頼ができますね」、I社長様は「事務所すっきりしていいね、社員さん凄いね」と絶賛して下さった。挙げればきりがない。美しい職場をみて社員を絶賛してくれるのである。なぜ外部の人に評価が大切なのか。3Sの原点は仕事のやり方の改善である。そして、3Sが徹底されることで職場が何より優秀な営業マンになってくれ、お客様の信頼を獲得してくれるのである。我々はそういう職場で真摯に仕事をするだけである。職場は我々の心を映し出す鏡だ。